複利計算・積立投資シミュレーターの入力と出力
このシミュレーターは,一定の想定年率で積立を続けた場合の資産推移を数学的に試算するツールです.画面の「積立・運用の条件設定」では,初期投資額,毎月の積立額,想定利回り(年率),積立期間の四つを指定します.初期表示の条件は,初期投資額100万円,毎月3万円,想定年率5%,20年です.
「初期投資額」は運用開始時点の残高です.0円にすると,初期資金なしで毎月の積立だけを続けるケースを試算できます.「毎月の積立額」は各月末に追加する一定額です.こちらを0円にすれば,初期投資額だけを運用するケースになります.「想定利回り(年率)」は,ツール内で毎月の計算に使う年率の入力値です.「積立期間」は年単位で,数値入力では1年から50年まで指定できます.
入力を変えると,最終時点の積立元本,複利による資産総額,試算上の複利運用益,比較用単利モデルとの差額が更新されます.その下では,各年末の推移を積み上げ棒と点線で表したグラフ,年ごとの元本・複利資産・単利モデル・両モデルの差をまとめた表を確認できます.
このページが扱うのは,毎月同じ額を積み立て,一定の年率が全期間にわたって続くという単純化したモデルです.実際の金融商品を選定したり,将来の市場価格を予測したりする機能ではありません.まずは複利計算の前提と,画面の数値が何を示すかを理解するための試算として利用してください.
入力年率を月利へ変換する方法
本ツールは,入力した年率を100で割って小数へ直し,さらに12で割った値を月利として使います.年率をi,月利をrとすると,内部の関係は「r = i ÷ 100 ÷ 12」です.年率5%なら,毎月適用する率は0.05÷12,つまり約0.0041667(月率約0.4167%)になります.
ここで入力欄の「年利5%」と,1年間の複利計算後に得られる増加率を区別する必要があります.入出金のない元本へ月率0.4167%を12回適用すると,1年間の増加率は「(1 + 0.05 ÷ 12)の12乗 − 1」で約5.1162%になります.本ツールの5%は,1年間で必ずちょうど5%増えるという意味ではなく,「5%を12等分した率を毎月適用する」という計算パラメータです.
預金,投資信託,保険商品などでは,利回りの表示方法,利息や分配の頻度,営業日,日割り計算,費用,端数処理がそれぞれ異なります.そのため,同じ「年率5%」という表示でも,本ツールの結果と実商品の結果が一致するとは限りません.ここでの年率は,商品固有の表示利回りや実績リターンではなく,一定利率モデルを比較するための入力値として扱います.
月末積立モデルの計算順序
積立額を月初と月末のどちらで加えるかによって,積立金が利率の適用を受ける回数は変わります.本ツールは月末積立モデルです.各月では,最初にその月の開始残高へ月利を適用し,その後で毎月の積立額を加えます.開始残高をB,月利をr,毎月の積立額をPMTとすると,翌月へ持ち越す残高は「B × (1 + r) + PMT」です.
この順序では,その月末に新しく加えた積立額には同じ月の利率が適用されません.最初の積立額は翌月から,最後の月に加えた積立額は試算終了時点まで利率の適用を受けない状態になります.月の初めに積立額を加えてから利率を適用する月初積立モデルなら,各積立金が一か月分多く運用されるため,同じ入力でも結果は異なります.
初期投資額をP,総月数をNとすると,本ツールの月次反復は,月利が0でない場合の「P × (1 + r)のN乗 + PMT × ((1 + r)のN乗 − 1) ÷ r」という月末積立の式と同じモデルです.画面では式を直接入力するのではなく,この処理をNか月分順番に繰り返し,12か月ごとの年末値を記録しています.
積立日は金融商品やサービスによって異なり,休日や約定日なども結果へ影響する場合があります.本ツールには任意の積立日,日次計算,月初・月末の切り替えはありません.「毎月の積立額」という入力は,各月の利率適用後に同額を追加する条件として読んでください.
元本・複利・単利モデルの計算例
積立元本は,初期投資額と,それまでに加えた毎月の積立額の合計です.初期投資額100万円,毎月3万円,期間20年なら,総月数は240か月なので,積立元本は「1,000,000円 + 30,000円 × 240」で8,200,000円になります.
同じ条件で想定年率を5%とし,月末積立の月次複利で計算すると,20年目の複利資産は15,043,650円です.画面の「試算上の複利運用益」は,円単位へ丸めた複利資産から元本を引いた値なので,6,843,650円と表示されます.
比較用の単利モデルでは,初期投資額に対しては「初期投資額 × (1 + 年率 × 経過年数)」を使います.毎月の積立額には,それぞれを加えた後に残っている月数だけ月利を単利で適用します.最初の月末積立は239か月分,次は238か月分,最後の月末積立は0か月分の単利を得る想定です.この条件での20年目の単利モデルは12,785,000円となり,複利資産との差は2,258,650円です.
この差額は,上記の月次複利モデルと,同じ年率を使った比較用単利モデルとの計算結果の差です.あらゆる投資で得られる「複利効果」を普遍的に表す値ではありません.株式や投資信託は価格が変動し,一定額の利息を毎月付与する商品とは限りません.また,実在する「単利型」の商品や分配型商品のキャッシュフローを再現する計算でもありません.
グラフ・年次表・円単位丸めの読み方
資産推移グラフの棒は複利モデルです.灰色の部分が積立元本,緑色の部分が試算上の複利運用益を示し,棒の上端が両者を合計した複利資産になります.点線は比較用単利モデルの資産額です.マウスポインターを各年の領域へ移動すると,その年末の元本,複利資産,複利運用益,単利モデル,単利モデルの益が表示されます.
年次表は,指定期間の各年末値を数値で確認するためのものです.初期状態では最初の5年分を表示し,「全期間表示」を押すと指定した期間の年次行をすべて展開します.長期の結果だけでなく,1年目から途中年まで元本と二つのモデルがどのように変わるかを追えます.
内部の複利残高は,毎月の計算で生じる1円未満の小数を保持したまま次の月へ引き継ぎます.12か月ごとの表示データを作る時点でMath.roundを使い,複利資産と単利モデルを円単位の整数へ丸めます.画面へ表示した丸め値を,次の月の内部残高へ戻して計算し直す処理は行いません.
したがって,画面の年次値は「毎月1円単位で利息を確定した結果」ではありません.実際の商品では,利息,分配金,口数,税,手数料などに固有の端数処理があり,本ツールとは異なる場合があります.年次表の1円単位の値は,このツールが採用する月次計算と表示丸めに基づく試算値です.
一定利率試算の対象外と利用上の注意
本ツールは,指定した年率が運用期間中ずっと変わらないと仮定します.実際の株式や投資信託などは市場環境によって価格が上下し,元本を下回る場合もあります.値動きのばらつき,下落する年,回復の順序などを一定利率へ置き換えているため,将来の市場や運用成果を予測するシミュレーションではありません.
税金,購入・売却手数料,信託報酬などの保有費用,配当・分配金と再投資条件,為替変動,インフレによる購買力の変化は計算へ含めません.NISAの非課税制度,年間または生涯の投資枠,口座区分も扱いません.途中での積立額変更,積立停止,一部出金,追加の一括投資といった資金移動も設定できません.
また,目標金額から必要な積立額や運用期間を逆算する機能,72の法則による倍増年数,税引前・税引後の比較,リスク許容度診断,市場データを使う予測,モンテカルロ分析,CSV・PDF出力はありません.画面に入力した四条件から,元本と二つの一定利率モデルを順方向に計算する範囲に限定されています.
表示される最終資産額は,将来受け取れる金額や元本を保証するものではありません.特定の金融商品の推奨,勧誘,個別の投資助言でもありません.実際の費用,税制,商品条件,リスクは各提供元の最新資料を確認し,最終的な判断はご自身で行ってください.