複利 vs 単利 投資リターン比較シミュレーターでできること
「複利 vs 単利 投資リターン比較シミュレーター」は,初期投資と毎月の定額投資に対して,一定の想定年率が続いた場合の資産推移を二つの数学モデルで比較するツールです.過去の利息も翌月の利息計算へ含める複利モデルと,拠出した元本だけを利息計算の対象にする比較用単利モデルを同じ条件で計算します.実際の金融商品を選ぶ機能や,市場の将来を予測する機能ではありません.
入力項目は,初期投資金額,毎月の積立金額,想定年利回り,積立期間の四つです.初期投資金額と毎月の積立金額は万円単位で指定します.初期表示は100万円,月3万円,年率5%,20年です.初期投資を0万円にすれば毎月の積立だけ,毎月の積立を0万円にすれば最初の資金だけを使う条件も比較できます.
初期投資のスライダーは0〜1,000万円,毎月積立は0〜50万円,年率のスライダーは0〜15%,期間は1〜40年です.年率は数値欄から0〜30%の範囲で直接入力することもできます.入力を変えると,右側のSVG折れ線グラフ,最終年の複利・単利モデル,両者の差額,年次比較表が同じ条件で再計算されます.
このページの目的は,「複利ならいくら儲かるか」を断定することではなく,利息を次の利息計算へ含めるかどうかで,一定利率モデルの数値がどう変わるかを確認することです.表示結果は特定商品の利回り,将来受け取れる金額,元本保証を表しません.
複利計算と月末の定額投資モデル
複利モデルでは,入力した年率を100で割り,さらに12で割った値を月利として使います.年率をi,月利をrとすると,内部の関係は「r = i ÷ 100 ÷ 12」です.年率5%なら,毎月適用する率は0.05÷12,つまり月率約0.4167%になります.
各月の計算順序は,最初に前月までの残高へ月利を適用し,その後で当月の積立額を加える形です.開始残高をB,毎月の積立額をPMTとすると,翌月へ持ち越す残高は「B × (1 + r) + PMT」です.このため,当月末に新しく加えた積立金には同じ月の利息が付かず,翌月から利息計算の対象になります.最初の積立金は最終時点までN−1か月,最後の積立金は0か月だけ利息の対象になる月末積立モデルです.
年率5%を入力し,途中の入出金がない元本だけを12か月複利計算すると,1年間の増加率は「(1 + 0.05 ÷ 12)の12乗 − 1」で約5.1162%です.入力欄の5%は,1年間で必ずちょうど5%増えるという意味ではなく,「5%を12等分した月利を毎月適用する」という計算条件です.
実際の預金,投資信託,保険商品等では,年率の定義,利息・分配の頻度,営業日,日割り,費用,端数処理が異なります.本ツールには月初積立への切り替え,任意の積立日,日次計算,毎月異なる積立額はありません.また,市場価格によって毎月の購入口数が変わるドルコスト平均法の値動きを再現するものでもありません.
比較用単利モデルの計算方法
単利モデルも,複利モデルと同じ入力年率,月利,月末積立の条件を使います.違いは,過去に生じた利息を翌月の利息計算へ含めないことです.各月の利息は,その月の利息計算時点までに拠出済みの元本だけを対象にします.当月の積立額は利息計算の後に加えるため,その月の利息対象にはなりません.
初期投資額をP,月数をNとすると,初期投資部分は「P × (1 + rN)」です.毎月積立の元本は「PMT × N」,各積立金へ残存月数分だけ付く単利の合計は「PMT × r × N(N−1) ÷ 2」です.したがって,比較用単利モデルの最終額は,これら三つを合計した値になります.第1回の積立金はN−1か月,第2回はN−2か月,最後の積立金は0か月分の利息を得るという足し合わせです.
画面上では利息を含む単利モデルの残高を表示しますが,利息を現金として別口座へ移動したり,実際に引き出したりする処理はありません.「単利」は,利息自体を次の利息計算の元本へ組み入れないという計算上の意味です.定期預金や債券等,特定の金融商品の受取方法を再現しているわけではありません.
初期投資だけで追加積立がなければ,単利額は期間に対して一定の傾きで増えます.しかし,毎月の定額投資がある場合は,追加された元本ごとに残存期間が異なり,式にはN(N−1)の項が含まれます.そのため,折れ線グラフ上の単利モデルを常に直線と考えることはできません.
複利と単利の差額を具体例で読む
ダッシュボードと年次比較表の「差額」は,複利モデルの表示額から単利モデルの表示額を引いた値です.「複利 − 単利」という中立的な比較値であり,金融商品同士の勝敗や優劣を判定する指標ではありません.年率0%ならどちらも拠出元本の累計となるため一致します.初期投資額と毎月積立額がともに0なら,年率を設定しても両者は0円です.
初期投資100万円,毎月3万円,年率5%,20年という初期条件で確認します.20年間の投資元本は,100万円に3万円×240か月を加えた8,200,000円です.月末積立の複利モデルは15,043,650円,同じ月末条件の比較用単利モデルは12,785,000円となり,表示上の差額は2,258,650円です.
同じ条件の1年目では,投資元本1,360,000円に対し,複利モデルは1,419,528円,単利モデルは1,418,250円,差額は1,278円です.5年目は複利3,323,541円,単利3,271,250円,差額52,291円です.10年目は複利6,305,478円,単利5,992,500円,差額312,978円となります.
期間が延びると差は生じますが,低い利率や短い期間では小さい場合があります.
本ツールが受け付ける非負の投資額と0%以上の年率では,同じ拠出金について複利計算した値は対応する単利計算値以上になります.ただし,これは一定の非負利率という本ツール内の条件による関係です.価格が下落する実際の投資や,負の利率,途中の取り崩しを含む一般的な資金計画へそのまま当てはめることはできません.
SVG折れ線グラフと年次比較表の表示
折れ線グラフは,運用開始時点を0年目とし,各年末の複利モデルと単利モデルを同じ座標上へ色分けして描きます.縦軸は金額,横軸は経過年です.パソコン等でグラフ上の各年の位置へカーソルを重ねると,その年の複利資産額,単利資産額,差額が下の情報欄へ表示されます.これは一定利率による年次試算の可視化であり,株価や投資信託の基準価額を示す価格チャートではありません.
最終年のサマリーには,指定期間後の複利総額,単利モデル,差額を並べます.その下の年次比較表では,1年目から最終年までの投資元本,複利モデル,単利モデル,複利−単利を年ごとに確認できます.40年を指定した場合は40行になるため,横幅の狭い画面では表を横方向へスクロールして読みます.
内部の月次計算では,小数を含む残高と利息をそのまま次月へ引き継ぎます.毎月の途中で円未満を切り捨てたり,年末の表示値を翌月の計算へ戻したりはしません.グラフと表へ載せる各年末の複利・単利モデルをMath.roundで円単位へ丸め,差額はその二つの表示値を引いて求めます.
この丸め方は本ツールの表示仕様です.金融商品ごとの利息確定日,口数,税,端数処理を再現するものではありません.そのため,同じ年率と期間を入力しても,実際の商品明細と円単位で一致することは保証できません.
一定利率試算の前提と含まれない要素
本ツールは,指定した一定年率が1〜40年の全期間で変わらないと仮定します.実際の株式や投資信託等は価格が上がる年も下がる年もあり,元本を下回る場合があります.リターンのばらつき,下落と回復の順序,購入価格による口数の変化を一定利率へ置き換えているため,将来の市場や運用成果を予測するシミュレーションではありません.
計算へ含めない要素は,税金,購入・売却手数料,信託報酬等の保有費用,配当・分配金と再投資条件,為替変動,インフレによる購買力の変化です.NISAの非課税制度,年間・生涯の投資枠,口座区分も扱いません.積立額の途中変更,積立停止,追加の一括投資,一部出金も設定できません.
目標額から必要な積立額や期間を逆算する機能,リスク許容度診断,市場データを使う予測,ポートフォリオ提案,CSV・PDF出力もありません.画面に入力した四条件から,元本と二つの一定利率モデルを順方向に計算する範囲です.
表示額は将来受け取れる確定額でも,元本保証でもありません.特定商品の推奨・勧誘や個別の投資助言を行うものではないため,複利と単利の計算構造を理解するための比較材料として利用してください.実際の費用,税制,商品条件,リスクは各提供元の最新資料で確認する必要があります.