2026-06-2925分で読めますBusiness

【月給・年収の手取り計算】額面から引かれる税金・社会保険料の内訳と手取り早見表

額面給与から差し引かれる社会保険料(健康保険・厚生年金等)や所得税,住民税の決定方法と,実際に自分が受け取る『手取り額』を一瞬で計算できる無料シミュレーションツールの使い方を詳しく解説します.

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毎月、給与明細を受け取るたびに、「あれ?思ったより口座に入っているお金が少ないな…」とため息をついたことはありませんか?

求人票に書いてあった「額面」の金額を見てワクワクしていたのに、実際に振り込まれる「手取り」の金額を見ると、なんだか少し損をしたような、モヤモヤした気持ちになりますよね。

「こんなに引かれている社会保険料や税金って、一体どこに消えているの?」

「そもそも、手取りってどうやって計算されているんだろう?」

そんな疑問やモヤモヤを抱くのは、あなたがごく普通の感覚を持っているからです。給与明細に並ぶ難しい漢字や数字の羅列は、見ているだけで頭が痛くなってしまいますよね。

この記事では、そんな難解に思える「額面」から「手取り」が計算される仕組みを、専門用語をできるだけフレンドリーな例えに置き換えながら、分かりやすく丁寧に解説します。実は、引かれているお金は私たちの生活を守るための「安心のサブスク(定額サービス)」のようなもの。仕組みが分かれば、「なるほど、だからこの金額なんだ!」とスッキリ納得できるようになりますよ。

さらに、記事の最後には、あなたの額面月給を入力するだけで一瞬で手取りを計算できる「無料シミュレーター」もご紹介します。ぜひ最後まで読んで、給与明細のモヤモヤをスッキリ解消していきましょう!


§1. 額面給与と手取り額(差引支給額)の定義と乖離の背景

給与所得者が勤務先から受け取る給与には、一般的に「額面給与(総支給額)」と「手取り額(差引支給額)」の2つの概念が存在します。

額面給与(総支給額)の構成:ピザに例えてみよう

額面給与とは、会社があなたに支払う労働対価や諸手当の総額のことです。

イメージしやすいように、「額面給与」を焼きたての一枚の大きなピザだと考えてみてください。

このピザには、以下のようなトッピング(項目)が乗っています。

  • 基本給: 職務や年齢、勤続年数などに応じて定常的に支払われる給与の基本部分。(ピザのベースとなる生地やチーズです)
  • 基準内手当: 役職手当、資格手当、家族手当、住宅手当など、毎月固定的に支給される手当。(お気に入りの定番トッピングです)
  • 基準外手当: 時間外労働手当(残業代)、深夜労働手当、休日出勤手当など、実績に応じて変動する手当。(がんばった分だけ乗る追加トッピングです)
  • 通勤手当: 通勤にかかる実費を補填するための手当(一定額まで非課税扱いとなるが、社会保険料の計算対象には含まれる)。

手取り額(差引支給額)の定義:実際に食べられるピザの量

では、「手取り額」とは何でしょうか?

それは、焼き上がったピザから、国や自治体、社会保険という「みんなの安心のための分け前」として、いくつかのスライスをあらかじめ取り分けられた後に、最終的にあなたが食べられる(自分の口座に残る)ピザの残り部分です。自由に使えるお金(可処分所得)は、この取り分けられた後の金額になります。

一般的に、会社員の手取り額は額面給与の約75%〜80%程度と言われていますが、この比率は年収の増加に伴って低下します。

「えっ、ピザの2割以上も誰かに持っていかれちゃうの!?」とびっくりしてしまいますよね。

しかも、この取り分けられる割合(控除率)は、お給料が高くなればなるほど大きくなる仕組みになっています。これは日本の税制が、収入が多い人ほど高い税率を負担する「超過累進税率」を採用していることや、社会保険料の計算に一定の上限が設けられているためです。

源泉徴収および特別徴収制度の歴史的・社会的背景:自動引き落としの仕組み

お給料をもらう前に、税金や社会保険料が自動的に差し引かれる仕組みを、国税では「源泉徴収」、地方税では「特別徴収」と呼びます。

これは、いわば「税金のクレジットカード自動引き落とし(オートペイ)」のようなものです。

もしこの仕組みがなければ、私たちは毎年1回、1年分の税金を自分で計算し、税務署に行って現金で支払わなければなりません。「確定申告の時期に、何十万円もまとめて払うなんて無理!」とパニックになってしまいますよね。

この自動引き落とし制度は、1940年(昭和15年)の戦費調達を目的とした税制改正を契機に導入され、現在まで続いています。企業が従業員の代わりに面倒な納税手続きをすべて代行してくれるため、私たちは自分で確定申告をしなくても済むという大きなメリットがあります。

その一方で、「自分の給料から何がどれだけ引かれているのか」がブラックボックスになりがちで、無関心になりやすいというデメリットもあるのです。だからこそ、仕組みを知っておくことが大切です。


§2. 控除項目(社会保険料・税金)の仕組みと詳細算出ロジック

額面給与から差し引かれる(控除される)項目は、大きく分けると「社会保険料」と「税金(所得税・住民税)」の2つです。

「どうしてこんなにたくさんの種類があるの?」と圧倒されてしまいますが、一つひとつ紐解いていくと、それぞれが私たちの生活を支える重要な役割を持っています。

(1) 社会保険料:みんなで支え合う「安心の共同サブスク」

社会保険料は、病気やケガ、老後、失業などのリスクに備えて、みんなで少しずつお金を出し合って支え合う「安心の共同サブスクリプション」のような制度です。

健康保険、介護保険、厚生年金保険の保険料は、毎月の実際の給与額で都度計算するのではない、「標準報酬月額」というテーブルをベースに算出されます。

これは例えるなら、「洋服のサイズ(S・M・L)」のようなものです。毎月1円単位で残業代などが変動するたびに保険料を計算し直すのは、あなたにとっても会社にとっても大変な作業になります。そこで、給与の範囲ごとに「Sサイズ」「Mサイズ」といった『等級』(健康保険は50等級、厚生年金は32等級)を割り当てて、そのサイズに応じた固定の保険料を支払う分かりやすい仕組みにしています。

  • 健康保険料(健康保険法)
  • 制度目的: 病気やケガをして病院にかかったとき、窓口で支払う医療費を原則3割に抑えたり、出産や病気で会社を休んだときの生活を助けてくれる保険です。
  • 算出方法: 毎年4月〜6月の総支給額を基に決定された「標準報酬月額」に対し、加入する医療保険者(全国健康保険協会「協会けんぽ」や健康保険組合)が定める「保険料率」を乗じて算出します。
  • 負担区分: 保険料は会社とあなたが50%ずつ分け合う「労使折半」です。会社が半分支払ってくれているのはありがたいですね!
  • 料率目安: 協会けんぽの場合、都道府県ごとに料率が異なります(例:東京都の令和6年度基準では9.98%であり、個人の自己負担分は半分の4.99%)。
  • 介護保険料(介護保険法)
  • 制度目的: 将来、自分や家族が介護を必要とするときに、少ない自己負担で介護サービスを受けられるようにするための保険です。
  • 対象年齢: 40歳以上65歳未満の被保険者に対して徴収が義務付けられます。「40歳になったら急にお給料が減った!」と感じる原因の多くは、この介護保険料の天引きが始まるためです。
  • 料率目安: 令和6年度の全国一律介護保険料率は1.60%(労使折半のため自己負担分は0.80%)。
  • 厚生年金保険料(厚生年金保険法)
  • 制度目的: 老後の年金や、もしも障害を負ってしまったとき、亡くなってしまったときに自分や遺族の生活を支えるための保険です。
  • 算出方法: 「標準報酬月額」に全国一律の料率18.30%を乗じて算出します。これも「労使折半」なので、あなたの負担分は9.15%です。「給与の1割近くも引かれるの?」と負担が大きく感じられますが、実は裏で会社が同額の9.15%を支払ってくれているため、あなたが納めた額の2倍が将来に向けて積み立てられているような、お得な貯蓄という側面もあります。
  • 上限設定: 標準報酬月額の上限は第32級(65万円)となっており、これを超える月給に対しては厚生年金保険料は一律59,475円(個人負担分)で頭打ちとなります。
  • 雇用保険料(雇用保険法)
  • 制度目的: もしも仕事を失ったときの失業手当(基本手当)や、育児や介護で仕事を休むときの生活費(育児休業給付など)を支給するための保険です。
  • 算出方法: 標準報酬月額ではなく、毎月実際に支給される「総支給額(通勤手当や残業代、ボーナスを含む)」に直接料率を乗じて算出します。
  • 料率目安: 一般の事業における令和6年度の個人負担率は0.6% (6/1000)、事業主負担率は0.95% (9.5/1000) で、合計1.55%(農林水産・清酒製造・建設の事業は料率が異なります)。

(2) 税金の算出ロジックと「課税所得」の決定プロセス

所得税と住民税は、国や地域社会を維持するために支払う税金です。

これらの税金は、お給料(額面)の全額に直接かかるわけではありません。

ここで知っておきたい大切なキーワードが「控除(こうじょ)」です。

控除とは、税金をおまけしてくれる「割引クーポン」のようなものだと考えてください。

額面給与から、社会保険料や、個人ごとの家庭環境(養っている家族がいるかなど)に合わせた様々な「クーポン(控除)」を差し引き、残った金額(=課税所得)に対してのみ、税率が掛けられます。

課税所得 = 給与所得 - 各種所得控除(割引クーポン)

つまり、「使えるクーポン(控除)が多ければ多いほど、税金がかかる金額(課税所得)が減り、手取り額が増える」という仕組みになっています。

ステップ1:給与所得の算出(給与所得控除の適用)

まずは、すべての会社員に一律で適用される「給与所得控除」を差し引きます。

これは、会社員にとっての「スーツ代や筆記用具などの必要経費」として、国があらかじめ概算で認めてくれている割引クーポンです。

給与所得 = 額面給与(年間総支給額) - 給与所得控除額

給与所得控除の算出テーブル(令和2年分以降)は以下の通りです。

(※額面年収に応じて、適用されるクーポンの額が自動的に計算されます)

額面収入の範囲給与所得控除額の計算式
180万円以下収入金額 × 40% (最低下限 55万円)
180万円超 360万円以下収入金額 × 30% + 8万円
360万円超 660万円以下収入金額 × 20% + 44万円
660万円超 850万円以下収入金額 × 10% + 110万円
850万円超一律 195万円(上限)

ステップ2:課税所得の算出(所得控除の適用)

給与所得から、納税者個人の家庭状況や支出状況を考慮した「所得控除」を差し引いて、最終的な税率適用対象となる「課税所得」を算出します。

課税所得 = 給与所得 - 各種所得控除

主要な所得控除は以下の通りです。これらは、あなた個人が使える「追加の割引クーポン」のようなものです。

  • 基礎控除: 合計所得金額が2,400万円以下の納税者全員に一律48万円(住民税は43万円)が適用される控除。
  • 社会保険料控除: その年に本人または同一生計の親族のために支払った社会保険料の全額が控除対象となる。(支払った社会保険料も、すべて税金の割引クーポンになります!)
  • 配偶者控除・配偶者特別控除: 配偶者の年間合計所得金額に応じて、最大38万円(住民税は33万円)を控除。
  • 扶養控除: 16歳以上の扶養親族の人数や年齢に応じて適用(例:16歳以上19歳未満は38万円、19歳以上23歳未満の「特定扶養親族」は63万円)。
  • 生命保険料控除・地震保険料控除: 民間の保険料支払額に応じて一定額を控除。
  • 小規模企業共済等掛金控除: iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金などが全額控除対象となる。(将来のための自分年金も、全額が割引クーポンになります)

ステップ3:税額の計算と税額控除

  • 所得税(国税)の計算:

課税所得金額に応じて、5%から45%までの7段階の「超過累進税率」を適用し、さらに東日本大震災の復興財源確保を目的とする「復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)」を加算して算出します。

所得税額 = (課税所得  ×  所得税率 - 控除額)  ×  1.021
  • 住民税(地方税)の計算:

前年の所得に基づき、全国一律でおおむね10%(都道府県民税4%+市区町村民税6%)の「所得割」と、所得に関わらず定額で課される「均等割」(通常、年額5,000円程度)の合算値として計算されます。


§3. 非課税手当と給与計算上の特殊ルール

お給料の中には、税金がかからない「非課税手当」という嬉しい仕組みがあります。しかし、ここには「税金はかからないけれど、社会保険料の計算には含まれる」といった、ちょっと複雑な落とし穴やルールが存在します。知っておくといざという時に役立つ、代表的な3つのルールを解説します。

(1) 通勤手当の非課税枠と社会保険上の扱い

  • 税金面での扱い:

バスや電車などの交通機関を利用する通勤手当は、合理的な経路および方法である限り、月額15万円を上限として所得税・住民税が「非課税」となります。

  • 社会保険面での扱い:

実は、社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)においては、通勤手当も「お給料の一部」と見なされるため、全額が「課税対象」となります。

そのため、会社から遠い場所に住んでいて通勤手当が高額な人は、近所に住んでいて通勤手当が少ない人(基本給は同じ)に比べて、標準報酬月額(お給料サイズ)が高くなってしまい、結果として毎月引かれる社会保険料が多くなるという不思議な現象が起きます。

(2) 旅費・出張手当

業務上の出張に伴い実費弁償的に支給される出張旅費(交通費・宿泊費)や、会社の旅費規程に基づいて支給される一定額の「出張日当(手当)」は、所得税・住民税ともに非課税であり、社会保険料の計算からも除外されます。

(3) 社宅制度(経済的利益)と住宅手当の比較

多くの企業で導入されている「家賃補助」ですが、その支給方法によって手取り額への影響が大きく異なります。

  • 住宅手当(お給料にプラスしてもらう場合):

給与に上乗せして手当として支払われる場合、額面給与が上昇するため、所得税、住民税、さらには社会保険料のすべての課税対象となります。手取り額は増加するものの、引かれる金額も連動して大きくなってしまいます。

  • 借り上げ社宅(家賃を会社に払ってもらい、自己負担分を天引きする場合):

会社が賃貸借契約を結んだ物件に従業員が入居し、家賃の一定割合(一般的に50%以上)を会社が負担し、従業員負担分を給与から天引きする方式です。税務上、会社負担分は「経済的利益(現物給与)」と見なされますが、国税庁が定める特殊な算式で求めた非常に低い基準額以下を自己負担していれば、非課税枠内に収まります。

これにより、お給料の額面を上げずに(=支払う税金や社会保険料を抑えつつ)実質的に安い家賃で住めるため、手取り(自由に使えるお金)を最大化できる賢い方法として広く活用されています。


§4. 各種控除項目の詳細比較および年収別の目安

「で、結局私の給料からは何が引かれていて、いくら残るの?」と気になりますよね。

ここでは、給与明細から天引きされる主な項目をわかりやすく整理した比較表と、額面年収に応じた手取り額の目安テーブルをご用意しました。

将来のキャリア設計や生活設計の参考にしてみてください。

(1) 各種天引き項目の比較一覧

以下は、給与明細から差し引かれる主要控除項目の比較表です。

控除項目名適用根拠法主な課税/算出基準労使負担割合税制上の所得控除支払サイクル制度の主要な役割・給付内容
健康保険料健康保険法標準報酬月額・標準賞与額労使折半 (50:50)全額所得控除毎月(翌月徴収)医療費の自己負担割合3割化、高額療養費制度、傷病手当金、出産育児一時金
介護保険料介護保険法標準報酬月額・標準賞与額<br>※40歳〜64歳の被保険者労使折半 (50:50)全額所得控除毎月(翌月徴収)要介護認定時の公的介護サービス(施設利用、デイサービス等)の給付
厚生年金保険料厚生年金保険法標準報酬月額(上限65万円)<br>標準賞与額(上限150万円/月)労使折半 (50:50)全額所得控除毎月(翌月徴収)老齢厚生年金(2階部分)、障害厚生年金、遺族厚生年金の給付
雇用保険料雇用保険法毎月の支払総支給額(手当・賞与含む)労使非対称(令和6年度:労働者0.6%、事業主0.95%)全額所得控除毎月(当月徴収)失業時の基本手当、高年齢雇用継続給付、育児休業給付、教育訓練給付
所得税所得税法年間の課税所得自己負担 (100%)N/A (所得税そのもの)毎月(仮徴収、12月年末調整で確定精算)国の一般財源(公共サービス、外交、安全保障等の維持運営)
住民税地方税法前年(1月〜12月)の課税所得自己負担 (100%)N/A (地方税そのもの)毎月(6月〜翌年5月にかけて分割特別徴収)自治体の地域サービス(道路整備、教育、警察・消防、ゴミ処理等)の財源

(2) 額面年収別・手取り額と控除額の推移目安

以下は、単身者(配偶者・扶養親族なし、40歳未満、東京都の協会けんぽ加入、基礎控除・社会保険料控除のみ適用、ボーナスなしの年俸12分割)をモデルとした、額面年収に対する手取り額および内訳の概算シミュレーションです。

額面年収社会保険料(目安)所得税(目安)住民税(目安)年間手取り額(目安)手取り率月換算手取り
200万円約29.4万円約2.8万円約7.0万円約160.8万円80.4%約13.4万円
300万円約43.0万円約5.3万円約11.8万円約239.9万円80.0%約20.0万円
400万円約58.2万円約8.2万円約17.6万円約316.0万円79.0%約26.3万円
500万円約71.5万円約14.1万円約23.9万円約390.5万円78.1%約32.5万円
600万円約85.8万円約21.1万円約31.0万円約462.1万円77.0%約38.5万円
800万円約110.8万円約45.9万円約45.6万円約597.7万円74.7%約49.8万円
1,000万円約124.9万円約87.1万円約65.0万円約723.0万円72.3%約60.2万円
1,200万円約131.7万円約139.7万円約85.1万円約843.5万円70.3%約70.3万円
1,500万円約136.6万円約243.2万円約116.3万円約1,003.9万円66.9%約83.6万円
2,000万円約142.1万円約445.6万円約164.7万円約1,247.6万円62.4%約104.0万円

§5. 給与計算・手取りに関するトラブルシューティング(Q&A)

お給料や税金に関する疑問は、仕事や生活をする中でたくさん湧いてきますよね。「これってどういうこと?」とモヤモヤしがちな、よくある5つの疑問に分かりやすくお答えします!

Q1. 「社会人2年目になると手取りが減る」というのは本当ですか?

A1. 本当です。悲しいことですが、これは住民税の「後払いシステム」が原因です。

住民税は、前年の1月〜12月までの所得情報を確定させた後、翌年の6月から給与より「特別徴収(天引き)」されます。新社会人(新卒1年目)は前年度に課税対象となる所得が基本的にないため、入社直後から2年目の5月までの給料からは住民税が引かれません。

しかし、2年目の6月になると、1年目にがんばって稼いだ給料に対する住民税の天引きがスタートします。このため、2年目に昇給がなかったり少額だったりした場合、新しく引かれる住民税の額が昇給額を上回り、結果として1年目よりも手取り額が数千円から1万5千円以上減ってしまうのです。

Q2. ボーナス(賞与)から天引きされる金額が、毎月の給与より多く見えるのはなぜですか?

A2. ボーナス専用の計算ルールがあり、直前の給料の額に左右されるためです。

  • 社会保険料の算出:

ボーナスからの健康保険料、厚生年金保険料は、支給された賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に直接保険料率を乗じます。そのため、1回のボーナス支給額が月給よりも高い場合、天引きされる保険料の絶対額も非常に大きくなります。

  • 所得税の算出:

ボーナスの所得税計算には、通常の月次所得税率表ではなく、「前月の給料(社会保険料を引いた後)」と「扶養親族等の数」を基準に決定される「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」が用いられます。ボーナスが支給される前月に残業を多くして給料が高くなっていた場合、それに連動してボーナスにかかる税率も高いテーブル(等級)にシフトしてしまい、天引き額が跳ね上がることがあります。

Q3. 「4月〜6月の残業代が多いと社会保険料が高くなり、損をする」と言われるのはなぜですか?

A3. 4月〜6月の3ヶ月間の給料の平均で、その年の9月から1年間の社会保険料が決まるからです。

健康保険や厚生年金保険の標準報酬月額(お給料サイズ)は、原則として毎年4月、5月、6月に支給された給料の平均額に基づいて決定されます。この3ヶ月間に繁忙期などで残業が多くなると、その年9月から翌年8月までの1年間の保険料が実際の基本給に対して高いサイズで固定されてしまい、結果として手取り額が減ってしまいます。

ただし、社会保険料を多く支払うことには以下のメリットもあり、一方的に「損」になるわけではありません。

1. 将来の年金受給額の増加: 厚生年金の保険料支払額が多くなれば、将来受給する老齢厚生年金の額が増加します。

2. 傷病手当金・出産手当金の増額: 休職時や出産時に支給される「傷病手当金」や「出産手当金」の受給日額は、標準報酬月額を基準に計算されるため、いざという時の所得保障が手厚くなります。

Q4. 扶養家族が増減した場合、手取りへの反映スケジュールはどうなりますか?

A4. 会社に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出した時期により異なります。

  • 月次反映: 扶養追加の異動届出を会社へ提出し処理された後、その月の給与から源泉徴収税額が引き下げられ、手取り額が増加します。
  • 年末調整による一括還付: 手続きが遅れた場合でも、その年の12月に実施される「年末調整」で適切な扶養者情報を申告すれば、1年分の過払い税額が再計算され、12月支給給与(または1月支給給与)にて還付金としてまとめて清算されます。
  • 扶養が外れた場合: 子どもの就職や配偶者の収入増などにより扶養条件から外れた場合、速やかに異動を届け出ないと、年末調整や後日の税務署による監査で、遡及して所得税が追徴され、一時に多額の控除(手取り減少)が発生するため注意が必要です。

Q5. 転職や失業があった場合、税金や保険料の手続きはどう変化しますか?

A5. 会社から離れると、自分で支払う手続きへの切り替え必要になり、一時的に負担感が増すことがあります。

  • 住民税の納付方法:

退職後にすぐに転職しない場合、住民税の「特別徴収(給与天引き)」から、自宅に届く納付書で自己納付する「普通徴収(年4回払い)」に切り替わります。退職時期によっては、退職月の給与から残りの住民税を一括徴収される場合もあります。

  • 健康保険・年金の切り替え:

退職の翌日から会社の健康保険および厚生年金保険の被保険者資格を失うため、「国民健康保険」および「国民年金」への切り替え手続き、もしくは前職の健康保険を最長2年間継続する「任意継続制度」の選択が必要となります。国民健康保険や国民年金(一律定額)は会社負担(労使折半)がないため、自己負担額が急増して手元資金を圧迫することがあります。


§6. ZeroTools 「手取り・個人事業主税金シミュレーター」を用いた高精度シミュレーション手順

「仕組みはなんとなく分かったけれど、自分で計算するのは絶対に無理!」そう思うのは当然です。複雑な数式や毎年変わる税率を追いかけるのは、専門家でもない限り気が遠くなる作業ですよね。

そこで、誰でもスマホやパソコンから、1分で簡単に手取りが計算できる無料ツール 手取り・個人事業主税金シミュレーター を作成しました!

最新の法改正や税率にしっかり対応しているので、難しい計算はすべてシミュレーターにお任せください。

シミュレーションの具体的な実行手順

1. シミュレーターの起動:

手取り・個人事業主税金シミュレーター のページへアクセスします。

2. 就労区分の設定:

「会社員・公務員」を選択します(フリーランス・個人事業主の場合は別モードを選択し、個人事業税や国民健康保険の計算に切り替えることが可能です)。

3. 収入情報の入力:

  • 想定月給: 基本給、固定手当、平均的な残業代を加算した総支給額を入力します。
  • 年間想定賞与: 夏季・冬季に支給される賞与の総額を入力します。

4. 個人属性および控除条件の指定:

  • 年齢区分: 40歳未満、40歳以上65歳未満、65歳以上から該当するものを選択し、介護保険料徴収の有無を自動判定させます。
  • 扶養家族・配偶者情報: 配偶者控除の有無、および扶養親族の年齢区分別の人数を入力します(16歳未満の年少扶養親族も住民税非課税基準計算のため入力が可能です)。
  • その他所得控除: iDeCoの年間拠出額や生命保険料等の控除金額を入力すると、シミュレーション精度がさらに向上します。

5. シミュレーション結果の出力と分析:

入力完了と同時に、以下の情報がグラフと表で出力されます。

  • 手取り・控除割合の円グラフ: 額面給与総額に対する手取り額と、健康保険・厚生年金・所得税・住民税それぞれの支払負担割合を視覚的に把握できます。
  • 年間および月次内訳明細: 各項目の支払目安額がテーブル形式で出力され、手取りの内訳を詳細に確認できます。

システム上のプライバシーおよびセキュリティ担保

「お給料の額や家族構成を入力するのは、個人情報が漏れないか心配…」と不安に思う方もいらっしゃいますよね。

このシミュレーターは、利用者が入力した給与額や家族構成、年齢などの重要なプライバシー情報を外部のサーバーへ一切送信しない「完全クライアントサイド実行型(ブラウザ完結処理)」で動作しています。

すべての税額・保険料計算ロジックはブラウザのJavaScriptエンジン内で動作するため、個人データがネットワークを介して収集されるリスクがなく、社内のパソコンやカフェの公共Wi-Fiからでも安全・安心に入力して結果を得ることができます。